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永見隆幸 なごや文化情報 随想に執筆 名古屋市文化振興事業団 Nagoya City Cultural Promotion Agency [永見隆幸先生information]



音楽家、著作家、舞台ディレクターの永見隆幸先生が、名古屋市文化振興事業団のご依頼をいただき、機関誌「なごや文化情報」の「随想」に寄稿されました。



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大言壮語 たいげんそうご ~ 巧言令色鮮矣仁 こうげんれいしょくすくなしじん



やれ、フェイスブックだ、ラインだと言われてもピンと来ない。Social Network Service ソーシャル・ネットワーク・サーヴィス は苦手だ。仲間を集めるのには適しているらしいが、人間の器が小さくなったりコミュニティを狭めたりする弊害も指摘されている。テレビや新聞にすら目を通さない自分には無縁の代物だ。

若手の舞台人に、自ら書いたという SNS エス・エヌ・エス の記事を見せられた。横にいた知人が、よせばいいのに、「自画自賛のテンコ盛り」と意見する。「誰も褒めないから自ら主張するしかない。どうしろと言うのですか。」と件 くだん の人は開き直った。一理あるとは言え、他人様 ひとさま の世辞ならまだしも、「物凄い」だの「素晴らしい」だの「感動を与える」だの「世界観がある」だの、聞いている方が赤面するような最上級の形容詞を自ら並べ立てるのは、野暮の極み。若い世代に留 とど まらず、先輩にも我々の中にも、他人様 ひとさま の前で己 おのれ を慰める事が好きな手合 てあ いは幾らでもいる。実際、そんな連中の舞台に限って中身が無い。一方、力量不足故の謙虚さや未熟故の恥じらいが、原動力にもなり、人の心を打つ。

高名な演出家が、晩年になって、「もっと『言葉』を大切にすべきだった」と述懐 じゅっかい した。独創的な仕事で名を馳せた彼は、つまらぬ破壊者でもあったことを懺悔した。今日 こんにち は、擬物 まがいもの の時代、コピーの時代、素人の時代と呼ばれ、本物は生き難い。言霊 ことだま まで持ち出すのは行き過ぎかもしれぬが、言葉の定義すら都合よく歪めて恬として恥じぬ昨今だからこそ、言葉を大切にしたい。言論の自由が大切なのは無論の事。だからと言って、何をどう表現しても許容されるべきというのは机上の空論である。

感動という言葉も、よく浪費される。感動なんぞ、生涯に幾度も味わえるものではない。素晴らしい作品も一握りに満たない。物凄い舞台に出あうのも極く稀だ。大人の配慮は、時として真実を見る目を曇らせる。下手クソでも有名になって話題を集める舞台人はゴマンといるし、実力があっても世に出ることができない者も大勢いる。それでも前を向いて生きて行かなくてはならない。報われずとも努力するのは当り前。どの世界においても、どの水準 レヴェル にあっても、人間一匹が食べて行くのは、それ自体、大変な事なのだ。

務めた舞台に自分自身が満足したことはない。創った舞台に完成と言えるものもない。達成感に酔い、完成に近づいたと感じるようになったら愈々 いよいよ お仕舞。何かが一つ解る度、その向うに、理解を超えた深遠なる世界がまた新たに広がって行く。



永見隆幸
NAGAMI Takayuki
音楽家 著作家 舞台ディレクター

20代と30代の殆どを欧米で過ごし、国際的な実力派歌手として活躍。オペラやミュージカルで数多く主役を務めた。指揮者や指導者としても定評がある。日本では文化庁芸術祭主催公演やNHKクラシック・スタジオなどに出演。
メリー・アーティスツ・カンパニー全公演の芸術監督を務め、『The Voice~Frank Sinatra』ほか、主演多数。
昨年のトリノ王立歌劇場における公演やBHSア・カペラ世界王者「Crossroads」との共演などでも脚光を浴びる。
代表する著書に『銀の光輝~しろがねのこうき』、CDに『My Blue Heaven』。
現在、ザ・ディライトフル・カンパニー Artistic Director、東京二期会 会員、ほか。





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たくさんのコメントが寄せられています。幾つかご紹介しましょう。


「本物とは何か、きっちり書いていらっしゃって素晴らしい内容でした。勉強になります。」

「厳しさも愛情であることがよく分かる文章です。ありがとうございます。」

「SNSの時代に発信が大切なのは分かりますが、私も、社会全体が他人に厳しく自分に甘くなっていると心配していたので、よく言ってくださったと、溜飲が下がりました。」

「久しぶりに骨のある文章家の著作を楽しんだ。痛快!」

「著者の嘘偽りのない真摯な姿勢に好感を持ちました。」





文芸評論家の清水信さんも、以前、永見先生の筆力と、その速筆に、感心なさっています。





永見先生への執筆依頼はこちらまで!


ザ・ディライトフル・カンパニー
〒140-0013
東京都品川区南大井6-19-1
03-3762-7200
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永見隆幸の代表的著書『銀の光輝』
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http://www.delightful-group.com/ng.html
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Shirogane no Kouki by Takayuki Nagami


永見隆幸 執筆 成田山大聖寺
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https://merry-3.blog.so-net.ne.jp/2019-04-25-3
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Takayuki NAGAMI contributes essay to Naritasan Daishoji


永見隆幸オフィシャル・ウェブサイト
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http://www.nagamitakayuki.com/
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NAGAMI Takayuki official website


永見隆幸のプロフィールはコチラ ♪
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http://merry-uta.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
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This is Takayuki NAGAMI!


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