八勝館 御幸の間 永見隆幸 再訪 料亭 懐石 日本料理 [永見隆幸 飲食店]
音楽家、著作家、舞台ディレクター、メリー・アーティスツ・カンパニー芸術監督、ザ・ディライトフル・カンパニー芸術監督の永見隆幸先生が、日本を代表する懐石料理の老舗料亭の一つ 八勝館 はっしょうかん を 再訪されました。
永見隆幸先生(右)八勝館 女将 杉浦香代子さん(左)
永見先生から伺ったお話を基に、八勝館について記述します。先生は、建築、庭、設 しつら え、食文化に至るまで、本当に何でもよくご存知で、芸術文化に対して極めて造詣が深くていらっしゃいます。
老舗料亭として全国に知られる八勝館の創業は 大正14年=1925年。明治時代に建てられた材木商 柴田孫助の別邸が、明治43年=1910年、料亭旅館 八勝館になった後のことです。八勝館の名称は、明治時代の真言宗の僧侶 雲照律師 うんしょうりっし による禅語「八勝道」が由来だそうです。ミシュラン星付の名店、北大路魯山人ゆかりの店としても知られています。
西門
先生の向って左の柱に見えるのは 黒主山 くろぬしやま の 粽 ちまき
永見先生によると、笹の葉で作られた厄病や災難除けの御守だそうです。天然素材を用いた手作りの御守で、玄関先などに飾ると泥棒や悪事除けになると言い伝えられているのだとか。
玄関
永見先生がお召のディレクターズ・スーツ Director's suit は、昭和大帝、上皇陛下、今上陛下の三代にわたって「天皇陛下のテイラー」として知られる 服部晋さんが、永見先生のために仕立ててくださったものです。
組子細工の衝立
ロビーにて一服なさる永見先生
八勝館は、令和二年=2020年、国の重要文化財に指定されました。料亭建築とその一帯が指定されることは、極めて珍しく、歴史的価値が高いそうです。対象は、次の九棟と土地。
・玄関棟
明治中期の建築。式台、内玄関、玄関の間、応接室。
・松の間
明治中期の建築。
・御幸の間
昭和二十五年=1950年、昭和大帝の行幸に当り、堀口捨己の設計により建てられた。月見台が設けられている。
・新座敷
明治後期の建築。昭和二十八年=1953年、堀口捨己によって増築。紅梅の間、白菊の間、蘭の間、竹の間、松の間と次の間からなる。
・菊の間
明治後期の建築。昭和二十八年=1953年、堀口捨己によって改修。菊の間と次の間、紅葉の間と次の間からなる。
・田舎家
昭和十三年=1938年、滋賀県甲賀地区の古民家を移築。
・正門
明治時代中期の建築。
・西門
明治時代中期の建築。
・中門
明治時代中期の建築。
御幸の間へは長い廊下をわたって行きます。
愈々 いよいよ 昭和天皇 皇后 両陛下がお泊りあそばされた 御幸 みゆき の間へ。戦後の数寄屋建築 第一人者と謳 うた われる一人 堀口捨己 ほりぐち すてみ の設計によるものです。
本間十六畳、次の間十畳、入側十六畳。
完成翌年の昭和二十六年=1951年、日本建築学会賞を受賞。日本の近代建築100選。令和二年=2020年、国の重要文化財に指定。
御幸の間が出来たのは、昭和二十五年=1950年です。「戦後の物資が乏しい中で、よくぞこれだけの良材が集められたものだ。関った職人達は、相当苦労したに相違ない。」と、永見先生が その労苦を偲んでいらっしゃいました。
永見先生は この日も 御幸の間でお食事を召上ります。
次の間
右の床脇 とこわき
右の床脇 とこわき から左の床脇を眺めた様子
四間(約七メートル半)もある 杉面皮 すぎのめんかわ の 床框 とこがまち が特長
この床框に用いられた杉は 数百本の中から選ばれた一本なのだとか。
左の床脇 とこわき から右の床脇を眺めた様子
やはり、長さ四間の 杉面皮 すぎのめんかわ の 床框 とこがまち の存在感が半端ではありません。
左の床脇 とこわき
南側に位置する付書院 つけしょいん
桂離宮の 笑意軒 しょういけん に倣 なら った丸窓
池側の南に面する入側 いりがわ
観月台側の東に面する入側
観月台にて寛がれる永見先生
観月台から観る池
田舎家 国指定重要文化財
昭和十三年=1938年、滋賀県甲賀地区の古民家を移築。
御幸の間から これも国指定重要文化財「松の間」の方を眺めた景色
松の間も永見先生好み
中門 なかもん 国指定重要文化財 木造 桁行一間 梁間一間 茅葺及び銅板葺
屋内からの眺めも趣があります。
南に面する入側から観る池
池を掃除されたばかりだそうで、池の底の石なども はっきりと見ることが出来ます。
まさか永見先生がお越しになられるので掃除なさった訳ではないと思いますが…
次の間から本間を観たところ
南北軸の中央一直線に障子を嵌 は めて 左右非対称の 棹縁天井 さいぶち てんじょう
本間から次の間を観たところ
印金更紗
着座なさる永見先生
八勝館名物 八勝煎餅
御献立
先付
蝦蛄 しゃこ 生姜 溜 たまり 付焼 白瓜大蕪挟 新銀杏塩煎松葉刺
吸物
菱蟹真丈 蓮 はす 芋 蓴菜 じゅんさい 丁子麩 ちょうじふ 柚子
造里
鱸 すずき 重 かさね 造里 障泥烏賊 あおりいか 細切 鱣子 キャヴィア 穂紫蘇 ほじそ 南瓜剣 紫芽 むらめ 大葉 山葵
口取
酸漿 ほおずき 入 細 うるる 甘露煮 蓮根鮭 サーモン 巻 丸十甘煮 黒胡麻付 鰻八幡巻 万願寺焼浸結 やきびたしむすび
永見先生によると、細 うるる という魚の名称は、スズキ系スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ヨシノボリ属の淡水魚「川葦登 カワヨシノボリ 」の別名だそうです。博識…
板前さんもたいへんです。
お絞りくださいと言わなくても 使いたい頃になると すっと出て来るそうです!
焼物 郡上鮎青櫛打塩焼 蓼酢 椒 はじかみ 枝豆塩茹
変物 かわりもの 無花果田楽 玉味噌 芥子実 けしのみ
煮物
冬瓜葛煮 千柚子 夏鴨治部煮 引上湯葉 千石豆
御飯 八尺素麺 洗葱 糸掻 いとがき 切胡麻 大葉細切 下 おろし 生姜汁
水物
蕃瓜樹 パパイヤ 果物時計草車厘 パッション・フルーツ・ゼリー 甜瓜 メロン 光輝麝香葡萄 シャインマスカット
黒文字
八勝館 春原正行 料理長(左)永見先生(右)
右から、女将の杉浦香代子さん、永見先生、料理長の春原正行さん。
永見先生に八勝館について伺いました。
何をいただいても美味しい。素材がよく吟味されており、仕込や下拵えも見事で、火の入れ具合が絶妙。建築も庭も素晴らしいし、設えもよく、素人受けしそうな 虚仮威 こけおどし の演出がないので、本来の意味において、全てが五感で楽しめると言ってよいと思います。
永見先生は建築がお好きだからと 女将が先生にプレゼントしてくださったDVD
BS朝日 百年名家 八勝館 2022年2月23日/ 3月2日放送
BS朝日「百年名家~築100年の家を訪ねる旅」で 八勝館が取上げられています!
ご贔屓様のお招きや舞台の打合せなど 美味しいものを召上る機会の多い永見先生…
高級な料理しか召上らないかと思いきや、意外や意外、何でも口にされます。
永見先生曰 いわ く「人間も食物連鎖の中にいて、動物や植物の命をいただいて生きているのですから、アレルギーや病気でない限り、何でも感謝して有難く口に運ぶべきだと思います。腕利きの職人による高級食材を用いた料理も、家庭料理も、B級グルメも、楽屋弁当も、それぞれに異なる美味しさがあって、自分は、いずれも楽しんで食べています。至高の料理を追求することも大きな楽しみですが、だからと言って、食の多様性に背を向けるのは、豊かな食生活を自ら否定するようなものではないでしょうか。」
本質的な所で多様性の意義をご理解していらっしゃいますね。
世界各地で研鑽を積んで来られた方は 流石に仰 おっしゃ ることが違います!
永見隆幸 八勝館 御幸の間 再訪
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料亭 懐石 日本料理
永見隆幸 八勝館 御幸の間 会食
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橘右之吉 坂井智雄 益田大祐
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