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永見隆幸 平田雅哉を読む 数寄屋造 数寄屋大工 平田雅哉資料 [永見隆幸 建築]



永見隆幸先生が、音楽や舞台は言うまでもなく、美術にも通暁されていることはよく知られています。しかし、その範囲は、実に、建築や食文化にまで及ぶのです。

以前、永見先生にお借りした平田雅哉の『大工一代』について記事を書きましたが、そのほかの平田雅哉に関する資料も多数お持ちなので、改めて、お話を伺いました。



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『数寄屋造り 平田雅哉作品集』をご覧になる永見隆幸先生





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平田雅哉 HIRATA Masaya

明治33年(1900年)~昭和55年(1980年)
大阪の堺生れ。生涯で400にも上る建築を手掛け、数寄屋建築の名工としてその名を馳せた。藤原新三郎の下で修業し、後に事実上の後継者になる。大工として働きながら自ら図面を引いた。製図や彫刻にも堪能で、それらにも多くの時間を費やした故に、作品が数多く残されている。昭和の左甚五郎と謳われた。

平田雅哉が語り、内田克己によって聞き書きされた「工匠談義」が、「大阪手帖」に5年にわたり連載される。それを書籍化した『大工一代』(昭和36年=1961年/発行:池田書店)も大評判になって、『大工太平記』(昭和40年=1965年/制作:東宝/主演:森繁久弥)として映画化された。

書籍に、『数寄屋建築・平田雅哉作品集』(昭和43年=1968年/発行:創元社)、『数寄屋造り・平田雅哉作品集』(昭和47年=1972年/発行:毎日新聞社)、『床の間図集』(昭和50年=1975年/発行:創元社)、『数奇屋建築の技法 平田雅哉から平田建設へ』(昭和60年=1985年/編集:和風建築社)など。

主な建築作品に、旅館「つるや」(芦原)、旅館「大観荘」(熱海)、旅館「西村屋」(兵庫)、料亭「招福楼」(八日市)、料亭「吉兆」高麗橋本店(大阪)、料亭「雲月」(京都)、旅館「万亭」(和歌山)、西南院(高野山)、料亭「錦戸」(大阪)、料亭「洗心亭」(大阪)、朝香宮邸茶室「光華」(東京)、茶室「如意庵」(大徳寺)、茶室「松籟亭」(広島)、「万里荘」(大阪)、料亭「なか川」、料亭「わか松」、料亭「相生」、料亭「現長」、料亭「青雲」、旅館「福田」、川上神社茶室、源生寺、川端康成の常宿だった金森旅館、ほか。

このプロフィールは、永見先生のお話をもとに、ザ・ディライトフル・カンパニーのスタッフが纏めたものです。





丹下健三と並んで日本建築界の巨匠と称される村野藤吾が、初めて平田雅哉に会った時の印象を、エッセイ「最後の一人」で次のように述べています。


長い間の修練に耐えて自我を通してきた「大棟梁」の面影があった。その気骨は、金と権威に自らを捨てぬ 不屈の魂が躍如として、寄らば切らん の構えが感ぜられた。私は棟梁の向こう側に座った。瞬間、一言も言わないうちから この勝負は私が負けたと思った。





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竹中大工道具館 巡回展「数寄屋大工 ー美を創造する匠ー」SUKIYA CARPENTER:THE CREATOR OF BEAUTY 展覧会図録

この図録は、竹中大工道具館が開催した巡回展「数寄屋大工 ー美を創造する匠ー」の展覧会図録として作成されたものです。

永見先生によると、基本がしっかり押さえられていて、数寄屋造と数寄屋大工についてのあらましが上手く纏められている、とてもよい図録だそうです。展覧会も見応えのあるものだったそうですが、この図録は、作る側の視点や歴史もよく分り、数寄屋造の基礎を学ぶための恰好のテキストと言えるということです。



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第3章 数寄屋大工列伝 ~名工が残したもの~ 標題のページを飾る写真は平田雅哉が製作した墨壺


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平田雅哉のページ


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写真は平田雅哉の『大工一代』


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平田雅哉『大工一代』昭和36年=1961年 初版(池田書店)


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写真左上:映画『大工太平記』の建築現場で指導する平田雅哉
写真右上:映画『大工太平記」主演の森繁久彌と対談する平田雅哉
写真右中:映画『大工太平記』新聞広告(昭和四十年=1965年)
写真左下:平田雅哉の自刻像 self portrait statue
写真右下:平田雅哉の用いた大工道具


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平田雅哉直筆の図面

これは写真資料で、残念ながら、原本と複写は存在しないそうです。





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図録「数寄屋大工 ー美を創造する匠ー」に目を通される永見先生





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手前の三冊は『数寄屋造り 平田雅哉作品集』『続 数寄屋造り 平田雅哉作品集』『新 数寄屋造り 平田雅哉作品集』(写真:恒成一訓/毎日新聞社)


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茶室、料亭、旅館、住宅、寺院、教会など、数々の平田作品が、美しい写真と平面図や立面図で紹介されています。


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本をカヴァーするパラフィン紙


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令和元年に永見先生が ご訪問された大観荘の写真


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永見先生から資料の解説をお聴きしているうちに、先生に対する、ある芸術家の批評が頭に浮かびました。


永見隆幸氏の芸術を受容する力は物凄い。ご本人が元々、鋭い感性、深い見識、豊かな知性を兼ね備えていて、その上に、あの取材の粘り強さだから、誰にも真似できないと思う。読む資料の量が凄まじく、現場へ何度も足を運び、現物を幾度も隈なく観察する。著作も、引用ばかりの無味乾燥なものは絶対に書かず、独自の文体があって、必ず身体性を帯びる。あそこまでやるから、何に関しても、本質にたどり着くことができるのだろう。





平田雅哉についても、『大工一代』『数寄屋造り 平田雅哉作品集』『続 数寄屋造り 平田雅哉作品集』『新 数寄屋造り 平田雅哉作品集』『数寄屋大工 ー美を創造する匠ー』など、殆どの資料を所有されています。そして実際に、大観荘、つるや、西村屋 平田館をはじめ、数々の平田作品に触れていらっしゃいます。
好きこそものの上手なれと言いますが、ここまで徹底していらっしゃる方は、そうは居ないでしょう。





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永見隆幸 平田雅哉『大工一代』を読む
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https://merry-3.blog.so-net.ne.jp/2018-08-05
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HIRATA Masaya "Life Carpenter"


永見隆幸 大観荘 訪問
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https://merry-3.blog.ss-blog.jp/2019-09-08-1
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Takayuki NAGAMI visits Taikanso


永見隆幸 つるや 訪問
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https://merry-3.blog.so-net.ne.jp/2019-07-16
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Takayuki NAGAMI visits Tsuruya


永見隆幸 西村屋 平田館 訪問
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https://merry-3.blog.so-net.ne.jp/2018-07-18
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Tak NAGAMI visits Nishimuraya Hiratakan


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