永見隆幸 鷲見麿 個展 訪問 NAGAMI Takayuki visited SUMI-MARO Solo Exhibition [永見隆幸 美術 工芸]
音楽家、著作家、舞台ディレクターの永見隆幸先生が、お知り合いで画家の 鷲見麿 すみまろ さんの個展を訪問されました。
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鷲見麿 すみまろ さん(左)永見隆幸先生(右)
ガッチリ握手された後、お二人とも、アルコール消毒液をふんだんに使って手を洗っていらっしゃいました…
本展の目玉と言われる鷲見麿作品『新・聖なるファティア「神秘の子羊の礼拝」』は、2885㎜×1855㎜の大作で、「非売品」。
永見先生は、何故か、この作品が非売品である秘密をご存知のご様子です…
根底に、「白土舎の土崎正彦さんへの感謝の気持ちがある」と、鷲見さんが永見先生に語っていらっしゃったそうです。
白土舎での土崎ご夫妻
永見先生は、何と、ファティアさんも ご存知らしいのですが…
永見隆幸先生のもとに鷲見麿さんから送られて来た招待状と書類
膨大な資料も一緒に!
鷲見麿 個展 SUMI-MARO Solo Exhibition『新・聖なるファティア New Sacred Fatiah』の 展覧会図録 Exhibition Catalog
何と、図録には、本個展を最後に、鷲見さんが作家活動に終止符を打たれるとあります…!
【鷲見麿 すみまろ 】
画家、美術家。
白土舎を中心に、Galerie Gabriele Rivet/Koln、Christian Goger/Munchen、Espai13 - Fundacio Joan Miro/Barcelona、ギャルリーユマニテ名古屋、GALLERY HAM、名古屋市美術館などで個展を開催。
Landscapes Aschenbach Galerie/Amsterdam、Kunstverein/Ludwigsburg、KONISCHER KUNSTVEREIN/Koln、Mediapark/Koln、Ausstellung im Kunstverein/Dusseldorf、Museo de la Ciudad de Mexico、愛知県美術館、埼玉県立近代美術館、群馬県立美術館、滋賀県立近代美術館などへも出展している。
ART COLOGNE/Koln には、平成5年 =1993年から平成14年 =2002年まで10年にわたり参加。
代表作に、『Dream a Dream ~ヤン・ファン・エイク《ファン・デル・パーレの聖母子》』や『アルトドルファー《アレクサンドロス大王の戦い》』などがある。
典子に捧げるシリーズ、ビートルズ・マリアン・シリーズ、青紀シリーズ、聖なるファティア・シリーズなどでも知られる。
精緻な描写力や色点分解の手法については、「右に出る者がいない」と謳われている。
身振り手振りを交えて熱のこもった議論を重ねるお二人
美術評論家の福住廉さん(左)を 永見隆幸先生(右)に紹介する 鷲見麿さん(中央)
左から、永見隆幸、鷲見麿、福住廉。
【福住廉 ふくずみ れん】
昭和50年 =1975年東京生れ、美術評論家。
2003年、美術出版社主催第12回芸術評論で佳作。「美術手帖」2004~2005 や「artscape」2006~2017 で展評を連載。現在は、「共同通信」2007~ で展評を連載中。そのほか、美術雑誌、ウェブマガジン、新聞、展覧会図録や作品集などにも寄稿。
著書に、『今日の限界芸術』(BankART1929、2008)など多数。
「21世紀の限界芸術論」Gallery MAKI 2005~2011 のほか、「里山の限界芸術」まつだい「農舞台」ギャラリー 2012~2015 など、展覧会のキュレーションも手がける。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」では、プロジェクト・ディレクターとして、「今日の限界芸術百選」(まつだい「農舞台」ギャラリー)を企画。
現在、東京藝術大学大学院、女子美術大学、多摩美術大学、横浜市立大学、和光大学、講師。
BankART1929「BankART school」2005~、アーツカウンシル東京「アートプロジェクトの0123」2010~2019、3331 Arts Chiyoda「ARTS PROJECT SCHOOL」2018、札幌文化芸術交流センター「SCARTS アートコミュニケーター」2019~ など、社会教育の現場でも講師を務める。
2020年より、「東京ビエンナーレ2020」のソーシャル・プロジェクト「アートライティングスクール」のプロジェクト・ディレクター。
新・聖なるファティア「アルノルフィーニ夫妻像」~ ヤン・ファン・エイク "Portret van Giovanni Arnolfini en zijn vrouw" が下敷き
この作品は、既に、ヨーロッパで一番の鷲見麿作品コレクターであるフローリアンさんの手に渡っています。
ちゃっかり制作年を描き込んでいたのを、作者の鷲見さん自身が忘れてました!
永見先生が、新・聖なるファティア「神秘の子羊の礼拝」の、この辺りが何だか妙だとおっしゃいますと…
鷲見さんは、すかさず、永見先生に「流石っ!鋭いっ!」と答え、「実はこれ、フローリアンさんなんですわ」とアッサリ白状!
バレた記念に、フローリアンさんに送ろうと、写真を撮り出す鷲見さん。
ヨーロッパで一番の鷲見麿作品コレクターであるフローリアンさん(左)と ケルンで画廊を営む ガブリエレ・リヴェットさん(右)
ケルン大聖堂の近くでお寿司を召上るフローリアンさん
永見先生も、フローリアンさんが来日された折に、食事をご一緒されています。
展覧会場のギャラリー KUNST ARZT を運営され ご自身も美術家である岡本光博さん(右)
個展会場 KUNST ARZT
鷲見さん最後の展覧会なんて寂しいですね…と、永見先生に申し上げたら、「さぁ、どうなんでしょうか。鷲見さんはメタファーの人です。彼の文章に接する時は、行間を的確に深く読まねばならぬし、会話なら裏や逆も考えなければなりません。レトリックの達人であり、根っからのいたずら小僧ですので、このまま終って仕舞うとは、自分には、到底、信じられないですね。」とのお返事でした!
はてさて、どうなっちゃうんでしょうか?!
聖なるファティアⅡ 2003 水彩 アクリル 鉛筆 紙
第一級恋愛罪 1992 アクリル カンバス
ON the AOKI 1997 スタンプ コラージュ 紙
A Portrait - She was born a long long time ago 1994 oil on wood(Piero del Pollaiuolo "Profile Portrait of a Young Lady")
鷲見麿の最高傑作と謳われる『Dream a Dream ~ヤン・ファン・エイク《ファン・デル・パーレの聖母子》』
アートフェア東京、滋賀県立近代美術館、愛知県美術館などに展示され、大きな反響を呼んでいます。
こちらも代表作の一つ『アルトドルファー《アレクサンドロス大王の戦い》』
最高傑作『Dream a Dream ~ヤン・ファン・エイク《ファン・デル・パーレの聖母子》』の中心部
永見先生に、何故この『Dream a Dream ~ヤン・ファン・エイク《ファン・デル・パーレの聖母子》』が最高傑作なのか伺いました。
鷲見さんの圧倒的で精緻な描写力が遺憾なく発揮されているところが第一に挙げられます。彼の、心身ともに最も充実した時期の7年間を費やして制作されたのが本作品です。
ヤン・ファン・エイクの宗教画は、宗教と無関係にフラットで面白いと、ほかの美術家に対してより、強い興味を鷲見さんが抱いています。鷲見さんと、下敷きにされるヤン・ファン・エイクの作品の相性は、「抜群」と自分は見ます。
『ファン・デル・パーレの聖母子』には、稠密 ちゅうみつ に描かれている部分と意外に粗く描かれている所があって、そのコントラストが面白いと鷲見さんから聞きました。そのコントラストを、油彩を用いたり、色鉛筆を使ったりして、描き分けるのです。テキストなどを用いて理屈っぽく説明臭くしてしまうのではなく、独自の描写力と技法を駆使し、鷲見さん流の分析結果を基に、作品自体を再構築してしまうのです。かくして、ヤン・ファン・エイクの『ファン・デル・パーレの聖母子』は、見事に、鷲見麿作品として現代に甦 よみがえ りました。
ドイツのピアニストであるクリスティアン・ツァハリアス Christian Zacharias に「依頼されて」制作したから『アルトドルファー《アレクサンドロス大王の戦い》』が一段劣るとするのは誤りです。この作品も、鷲見さんの代表作の一つに挙げられるべき傑作に違いありません。元々鷲見さんは、人間の関係性が創作意欲の根幹を成すと言っているように、ほかの作家ならともかく、むしろツァハリアスによってインスピレーションを掻立てられた部分が大きいのではないかと自分は推測しています。きちんと絵を観れば、それが杞憂であることは、直ぐに判る筈です。依頼されて作るものは駄目で自主制作でなければならないと考えるのは、近代思想の呪縛に過ぎず、捉われる必要はありません。とうに、鷲見さんは、そんなものから自由です。
ただ、『Dream a Dream ~ヤン・ファン・エイク《ファン・デル・パーレの聖母子》』が、より自由な創作であることは間違いないでしょう。魂の飛翔、表現の解放、鷲見さん一流の遊び心など、何にも捉われず、鷲見さんの力が全て思いのまま発揮されているのが、この作品の特長です。最高傑作と謳われる所以 ゆえん の一つと言えましょう。
近年の鷲見麿さんの話題作『ファティアによるバッタもんのウソ八百』2110×1623×155 mm / mixed media
近くで見ると こんな具合…
聖なるファティアのドゥローイング A
聖なるファティアのドゥローイング B
聖なるファティアのドゥローイング C
聖なるファティアのドゥローイング D
聖なるファティアのドゥローイング E
聖なるファティアのドゥローイング F
聖なるファティアのドゥローイング G
聖なるファティアのドゥローイング H
聖なるファティアのドゥローイング Z
そう言えば、永見先生は、ファティアさんも ご存知だという噂を耳にしたのですが…
ファティア・ビュルクナー Fatiah Buerkner さんと語る 永見隆幸先生(左)
鷲見さんが主宰されていたフリースペース「めだかの学校」における食事会
永見先生の英語ジョークに微笑むファティアさん(お誕生日席)
ファティアさんを直視できない様子で、鷲見さんにとって彼女は本当に聖なる存在なのかも知れない。そう納得した瞬間だったと、永見先生が振返っておられました。
永見隆幸
NAGAMI Takayuki
音楽家 著作家 舞台ディレクター
20歳代はアメリカに住み、30歳代の殆どを欧米で過ごし、国際的な実力派アーティストとして活躍。クラシック、現代音楽、ジャズを中心に数々のオーケストラと共演する。
モーツァルトなどの独墺系オペラをはじめ、ビゼー『カルメン』ホセ、ヴェルディ『椿姫』アルフレード、プッチーニ『ラ・ボエーム』ロドルフォほか、オペラやオペレッタの主演多数。
ミュージカルでも、『ガイズ&ドールズ』ネイサン、『ラ・マンチャの男』ドン・キホーテ、『アニーよ銃をとれ オリジナル版』フランク、『キス・ミー・ケイト』フレッドなど数多くの主演を務め、『キャバレー』MCや『アニー』ウォーバックスなど、ユニークな役も演じている。
数多くのコンサートでソリストを務め、指揮者や指導者としても定評がある。
日本では、文化庁芸術祭主催公演やNHKクラシック・スタジオなどに出演。
音楽家のデューマス博士が「アメリカ大学時代から彼はずっとスターだった」と語るように、BHSア・カペラ世界チャンピオン "Crossroads" との共演やトリノ王立歌劇場への出演など、脚光を浴びている。
メリー・アーティスツ・カンパニーにおいて、全公演の芸術監督と、『ザ・ヴォイス Frank Sinatra』フランク・シナトラ役、『ラプソディーdeパパ』ジョージ・ガーシュウィン(ガーション)役、『ベリー・メリー・クリスマス』アーヴィング・バーリン役、『BOBBY』ボビー・ダーリン役ほか、多くの主役を務めた。
ジャズでは、スタンダードの歌唱が心に残ると言われ、ビッグ・バンドと渡り合う圧倒的な存在感、美しいヴェルヴェット・ヴォイス、抜群の表現力が、高い評価を得ている。
メリー・アーティスツ・ジャズ・オーケストラのリード・ヴォーカル。CD『My Blue Heaven』『Joyful Christmas』などをリリース。
東海地方においても活躍。名古屋市芸術創造センター開館30周年記念公演『Mr.ブロードウェイ』で主演のジョージ・M・コーハン役、名古屋市民芸術祭主催公演『マイ・ブルー・ヘヴン』では指揮者のみならず上等兵の英霊とジャズ・シンガーの二役を務め、絶賛された。毎週土曜日15:55放送のラジオ番組 FM AICHI 80.7「サウンド・ステップス」のレギュラー・ゲストとしても知られる。
天才肌で芸術家気質の行動人、論理的かつ哲学的な思惟の人、という二つの面を併せ持つと文芸評論家の清水信に評された。芸術評論家の馬場駿吉は、「永見隆幸は多面体、その核心には強い自由の希求がある。」と述べている。芸術家として様々な顔を持ちながら、話題性や知名度に関心を示さず、謎に包まれたアーティストして知られる。
著書に、『銀の光輝-しろがねのこうき』(NG出版)など。
現在、メリー・アーティスツ・カンパニー芸術監督、ザ・ディライトフル・カンパニー Artistic Director、東京二期会 会員、ほか。
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鷲見麿 Dream a Dream
ヤン・ファン・エイク
ファン・デル・パーレの聖母子
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Sumimaro vs Jan van Eyck
Madonna met kanunnik Joris van der Paele
永見隆幸の最新プロフィールはコチラ ♪
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This is Takayuki NAGAMI
メリー・アーティスツ・カンパニー
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